返納した療育手帳を2年後に他県で再取得した件

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こんにちは、らんたなです。

障害者手帳を持っていて、行政の手続きや割引などで使うとき、人の目線が気になったり、手帳を持つことで嫌な気持ちになったことはありませんか?

そんな嫌な気持ちになるくらいだったら使いたくない、要らない、そう思うことはありませんか?

療育手帳を持つ僕の妹はそう感じていました。

もし、返納したいと思っている人が居たら、一度この記事を読んで参考にして頂けたらなと思います。

今回は、妹が高校生時代に取得した療育手帳を成人した後に自分の意志で返納し、その2年後に他県で再度取得したことについて記載したいと思います。

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返納後、期間が空いても療育手帳は再交付できるのか?

出来ました。

僕の妹の場合、手帳を発行していたA県からB県に引っ越す際に返納しました。

療育手帳は都道府県・指定都市単位での発行の為、他県などに住所を移動する際は、一度返納し、新しい住所のある地域で発行します。

しかし、妹は療育手帳を持つことに嫌悪感をもっており再交付するつもりなく本人の意向で返納しました。

その後、C県で生活していた僕と妹が同居することになりました。

妹が手帳を返納し、2年が経ったころ、僕は手帳の必要性を感じ、妹と話して再度取得してみることにしました。

C県の役所に行き、その役所がA県(過去に療育手帳を交付した役所)に連絡し、交付していた事実確認を取りました。

そして、C県で再度IQ等の検査を行い、数か月後に手帳が交付されました。

期間が空いても再交付できたわけ

知的障害は発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、基礎にある障害そのものを改善させることは難しいと言われています。

(一方で、日常生活能力については、本人の生活・周囲の人々などの環境によって改善する可能性があります。)

未成年時に手帳を持っていた場合、児童相談所等が既に発達期当時における本人の状況調査をしております

そのため、手帳を返納して期間が空いたとしても、再度IQ検査等をして障害に該当すると判断されれば、手帳が交付されると思われます。

しかし、成人後に初めて療育手帳を取得する際は、上記よりも必要なものが増えます

知的障害は発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ → 発達期当時の状況確認が必要 となり、

例えば、母子健康手帳、就学時の成績や先生のコメント、かかっていた医療など未成年時の状況を把握する資料が必要です。

自分の意志で返納するときにやっておいた方が良いこと

返納する前に、手帳のコピーを保管しておいた方が、今後必要になったときの手続きが円滑に行われると思います。

手帳に記載された交付番号や生年月日、住所記録等で行政が確認しやすくなります。

僕の場合、父が亡くなった後は僕の扶養家族に入れていたので、障害者控除の証明書類として手帳のコピーを保管していました。

妹が最初に手帳を取得したときの話

僕の妹は高校生時代に療育手帳を取得しました。

それは、本人の意向ではなく、学校の先生の勧めや、親の判断によりました。

未成年ということや判断能力などから、多くの人はこのような感じで取得しているのではないでしょうか。

障害者手帳を取得する親(家族)と本人の思い

・親(家族)にとって

手帳取得により、福祉手当や公共交通の運賃割引,税控除などの経済面、福祉的な就労、その他の支援が活用できます。

福祉サービスを利用する際、必ずしも手帳が必要でない場合もありますが、手帳を持つことで利用する際の手続き負担が軽減されます。

子どもの成長や日常生活の支援、医学的な検査や交通費の負担など、子どもの将来と自らの生活を考えて手帳の申請をするのではと思います。

・本人にとって

療育手帳取得の際には生活の状況や知能(IQ)、精神年齢(MA)の検査を行います。

検査内容、障害の程度区分(AとかB1とか)は都道府県ごとに発行されるため、はっきりとした明確な基準が無いのですが、

この取得条件を満たすと、本人にとっては「障害者」と公に認定されます。

福祉サービスや運賃などの割引を受けるときは、手帳を他者に見せます。

その際、本人は、みんなとは違うんだ、可笑しな人と見られてしまうといったことを感じていました。

例えば

・当時はバスを利用する際、都度運転手に手帳を見せており、その際に周囲にジロジロ見られる

・役所で見せたときに職員に手を叩いて笑われた、一人が笑ったあと皆が笑った

そういった経験から、私は障害者ではなく皆と同じ人間なのだという思い、

手帳を持つことに対する嫌悪感が強く根付きました。

手帳を返納したときの話

僕は別の地域で生活し、妹は父母と一緒に過ごしていました。

そして、父が亡くなり、母と妹は母の実家(他県)に住むことになりました。

引っ越しを手伝っていた僕は、妹に手帳をどうするか確認し、本人は手帳を返納することを決めました。

そして、僕はその意向を尊重しました。

当時の僕は福祉についての知識は皆無で、本人が嫌な思いをして得られるメリットなんて活用できないし、いらないのではと思ったからです。

手帳を再度取得したときの話

その後、色々あって妹は僕と同居することになりました。

当時の妹はひきこもり。近くのコンビニにも行けない、ご飯もまともに食べられない、声もか細いなどメンタルも病んでいる状態でした。

知人に紹介してもらった精神科に一緒に行き、体調が少し回復したときに本人のやりたいことを聞きました。絵や作品作りが好きだと言いました。

障害や病気があっても配慮があり学べる場を探したところ、なかなか見つからなかったのですが、通えそうな範囲に一つの福祉施設を見つけました。

最初は自己負担100%で利用していましたが、手帳を活用すると所得に応じた自己負担に軽減されることを知りました。

妹のことを思いながらも、施設や病院など、一緒に行く時間やお金が僕の負担となり、少しでも軽減できたらと思い、妹と手帳について話し合いました。

・手帳を持つことで様々な制度や支援が、自分のために活用できること。

・お兄ちゃんはお金が安くなったら助かること。

・バスも今では電子マネーに割引登録できるから、手帳を毎回運転手に見せなくても良いこと。

・嫌な思いをしたらその都度教えて欲しいこと

などです。

妹も絵を学びたいという意欲や、僕のことを思ってか、手帳をもう一度取得することに納得してくれました。

(療育手帳は交付に時間がかかるので、先に精神保健福祉手帳を取りました)

おわりに

妹に聞くと、以前のようにジロジロ見られたり、笑われたりというのは無いそうです。

ただ、妹自身の療育手帳に対する過去の嫌悪感は根強く残っています。

バスでは電子マネーに印字された障害マークを隠してタッチしたり、映画館などで手帳を見せれば割引が適用されるが、見せたくないために活用できなかったりなどです。

もしかしたら、時代や地域性が良くなり、本人の気にしすぎる部分があるのかもしれませんが、馬鹿にしたり、傷つくような言葉を投げかける人がいないとも言い切れないです。

妹本人が他人を気にせず、自分のために手帳を活用していけるようになってほしい。

兄としてそう思います。

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